八ヶ岳・小淵沢 ペンション風路の通信

風の通り路2007.10.10 47号


不思議な縞模様 縞枯〜茶臼山

コースタイム
   風路10:10=蓼科ピラタスロープウェー山麓駅11:5−山頂駅11:30−縞枯山頂10:20(休憩15分)
   −展望台(昼食休憩12:20(昼食50分)−茶臼山頂13:45(休憩20分)−五辻5:10(休憩10分)
   −山頂駅15:50(休憩10分)−16:55            
        歩行時間約4時間

9月20日
 朝、ダイニングの大きな窓のカーテンを開けた瞬間、カラマツやヒノキの向こうに広がる青く澄んだ秋の空が目に飛び込んでくると、もうじっとしていられません。「どこかへ出かけよう!通信の取材もしなくちゃ!」こういうことになるとフットワークが軽い。先日、北横岳へ行ったとき眺めた縞枯山が浮かんできました。
 午前10時すぎ、新しく我が家の一員になった軽自動車セルボの試運転もかねて、蓼科のピラタスロープウェー駅を目指して出発です。八ヶ岳を東西に縦断している国道299号からビーナスラインへ入って10数分。ロープウェーの大きな看板を右折して数分走ると山麓駅に到着です。
ロープウェーから見える素晴らしい眺望に歓声が上がり、ガイドさんの説明にも熱が入ります。10分ほどで山頂駅。
 抜けるような青空を見上げ、「これは焼けるなぁ・・・」とちょっとビビる。
 左手に坪庭、北横岳を眺めながら整備された木道の登山道を雨池方面へ進みます。右手にはこれから登る縞枯山。その名の通りこの山は縞状にシラビソの木々が立ち枯れる珍しい縞枯現象が見られます。深い緑の森の中に百メートル単位で立ち枯れている木々が並んでいる光景は自然の不思議を思わずにはいられません。駅から20分程で縞枯山荘。そのすぐ先が縞枯山・雨池・雨池山の分岐でした。
 

ピラタスロープウェーから見る景色。 山頂駅を出て出発。 縞枯山荘が見えてきました。

 森の小さな命
 ここからが縞枯山への登りです。あたりはびっしりと苔が生え、鬱蒼としたシラビソ、コメツガの暗い樹林の中です。苔の間からはゴゼンタチバナやマイヅルソウなどの小さな葉、シラビソやナナカマドの実生の幼木が森の歴史を語っているようです。展望はほとんどなく、振り返ると後方の雨池山などがほんのすこし望める程度。急登で足元はゴロゴロの岩と石の道、歩きづらいこと夥しい。ちょっと登ってはハァハァと一休み。以前登った時は母と一緒だったことを思い出し、よく登ったなぁ、とただただ感心。
 ようやく前方の森が途切れて向こうに青空が望めるようになってきました。なんと上から人の声が・・・。「もうすぐ山頂ですよー」これほど力強い言葉はありません!

 

ここから縞枯山へ シラビソの実生の幼木 ゴゼンタチバナ

 楽しい出会い

 山頂は樹林に囲まれた10平方mほどの広場のような所で、真ん中に木製の「縞枯山2402m」の小さな標識が立っていました。先に休憩していたのは秩父からやって来た方たちで、私たちが去年まで3年間「秩父札所巡りウォーク」をしていたことを話すと「○○寺の裏が私の家です」などと話が弾みました。山頂からしばらくは比較的平坦な道で、木々の間から南・中央・北アルプスの峰々が霞んで見えました。
  

展望のない縞枯山頂 交代で証拠写真。
平坦な道。 木々の間から北アルプス。

 得意?の5点支持!
 しばらく快適な山道を歩くと「展望台と茶臼山へ」の標識が立っている分岐にでました。展望台方向を見上げると大きな岩の上に年配のカップル?が見えます。ここを登るのか・・・ちょっと弱気。
 案の定、大きな岩が積み重なっているコースです。得意(?)の5点支持(両手両足にお尻)で、ズリズリと進みます。しかし到着してみれば「思ったほどたいへんじゃなかったね」と強気。変わり身の早さは得意技です?

 眼下に八ヶ岳を東西に縦断する国道299号が樹海を区切るように走っていて、その中間に特徴のある赤い屋根の麦草ヒュッテが見えます。その向こうには主峰の赤岳を中心に横岳、硫黄岳、阿弥陀岳、権現岳、東西の天狗岳などの八ヶ岳の主立った峰々がくっきり、その左手には金峰、瑞 などの奥秩父の山、右手は北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈岳などの南アルプスの名峰、その隣に中央アルプス、御岳、乗鞍、穂高・槍の北アルプスの峰々が続いています。(眼前の茶臼山が始めわからず、あの山は何だろう?冷山かな?などとトンチンカンな会話をしていました)ここで途中のお店で買ったお弁当におにぎりの簡単なお昼で腹ごしらえ。

展望台と茶臼山へ。 岩を登って展望台へ。

 眼下の眺望・茶臼展望台
 再び岩の重なる道をズリズリと分岐まで戻り、目の前に立ちはだかる茶臼山を目指します。しばらく下ると展望台と茶臼山の鞍部にある五辻方面への分岐にでました。茶臼山方向へ直進、20分程登った所が山頂でした。ここも展望はなく、山頂の標識が樹林に囲まれて立っていました。展望台方向を示す標識に従って進むとすぐに樹林が途切れてパッと展望が開けました。
 八ヶ岳、南〜中央〜北アルプス、奥秩父などの峰々が雲の上に浮かんで見えます。眼下には北八ヶ岳の樹海が、その向こうに茅野の市街が広がっています。
 眼下に広がる眺望を満喫した後、来た道を分岐まで戻り、五辻方向へ進みました。足元はゴロゴロの岩と笹、緩い下りの道です。五辻からはロープウェー山頂駅まで木道の登山道が続いています。30分ほど登ると、前方の左手、樹林の奥に山頂駅の白い建物が見えてきました。
 縞枯〜茶臼山は15前に一度歩いたことがありましたが、急登だったこと以外ほとんど忘れていました。苔生した鬱蒼とした樹海、岩稜、開ける四方の眺望と、北八ヶ岳独特の素晴らしさを満喫できるコースでした。
 

ゴロゴロの岩の道を下る。 分岐に到着。 茶臼山山頂。


茶臼山展望台より南・中央アルプスと眼下の茅野市外を望む

茶臼山展望台 同左

五辻。 木道を登り、山頂駅へ 左に山頂駅。山の上には縞枯現象。