風の通り路
2003.9.25 31号
光溢れる妖精の径 
羽衣池からオオヤマツツジへ

 9月16日 
 忙しい夏休みが終わり、9月に入って静かな日々がやってくると、この日を待っていたように山歩き・ハイキング好きのペンション仲間から「今度、どこそこへいきましょう」「もう随分山も色づき始めているよ」といった声がかかってきます。
 きょうは近くのペンション・たんぽぽのリイさんと一緒に、今年の6月に歩いた清里・美しの森にあるオオヤマツツジの径を歩くことにしました。6月に歩いたときはカラマツの新緑が瑞々しく、明るい樹林の中にはズミの小さな白い花とピンクの蕾が風にゆれていて、とても素晴らしい小径だったので、秋にも一度歩いてみたいと思ったのでした。というよりは夏休み中家の中での仕事ばかりで、ほとんど歩いていなかったため、つい先日近くの散歩道を久しぶりに歩いたところ、わずか数百メートルの緩やかな上りの道を歩いただけで息が切れてしまい、「これでは、しっかりした(?)山歩きはとても無理だ・・・」と弱気になって、美しの森だったら歩けるのではと考えたのが真相です・・・。     
 吹き抜ける秋風 
 小淵沢を午前1015分に出発。秋風の吹き抜ける八ヶ岳公園道路を清里・美しの森を目指して走ります。
 道の両側は気の早い桜やウルシの葉が1、2枚、赤や黄色に色づいていますが、まだ全体は緑のままです。それでも夏のキラキラと光る濃く深い緑は色あせ、どことなくくすんで見えるのは、私達が秋の気配を感じてそんなプリズムを通して見ているからでしょうか。吹き抜ける風は涼しいというよりはもう肌寒く、道端には白いススキの穂が風に揺れ、標高1300から1500mの八ヶ岳中腹にはしっかりと秋がやって来ていました。
 木道を登って展望台へ
 小淵沢から八ヶ岳公園道路を30分ほど走って美しの森駐車場に着きました。10分ほど登ると展望台です。展望台への道は数年前までは石とコンクリートで作った歩道がいたるところで割れたり崩れたりでひどく歩きにくかったのですが、ここ数年の間に枕木と太い柱で木道と階段が出来ていて整備されていました。展望台まではどんな格好でも行けるようにと作ってあるのでしょうが、あまりに整備されすぎている観があって、どうもしっくりしません。枕木や太い材木なので今はしっかりしているように見えても、何年か経つと木は腐ってくるので、その時の補修はどうするんだろうか・・・などと余計な心配をしてしまう。できるだけ、ありのままの自然を残してもらいたいと思うのですが・・・・。
 眼下に八ヶ岳の広大な裾野、その向こうに雲の上の富士山、茅ヶ岳、奥秩父や南アルプスの峰々が横たわっています。広がるカラマツなどの樹林が日ごとに色づき、赤や黄色に変わって行くのも間近です。

奥秩父の山々。
美しの森頂上の記念撮影ポイント?

 水草覆う羽衣池
 展望台からさらに奥に向かって進みます。この道は足元が笹原でカラマツやズミ、コナラの林の道でほぼ平坦♪。10分ほど歩くと町営・たかね荘の入り口に出ました。ここから丸太で作られた階段を登って行きます。
 午前1120分に羽衣池に着きました。池はもうほとんど水がなく、中央部分にわずかに水が残っていてその部分だけ水草が覆っている状態でした。池を一周する木道が作られていて、木道のまわりにはウメバチソウやリンドウがまだたくさん残っていました。
 羽衣池から再び樹林の中の道に入り、しばらく歩くとカラマツと笹原の明るい森の中の道になりました。途中で地元の人たちがキノコ採りをしているのに出会い、採ったキノコを見せてもらって、名前を教えてもらったのですが、帰ったらすっかり忘れてしまいました。(今度はすぐにメモをするぞ!・・) 少し急な坂を下り、林道に出ました。

羽衣池に到着。 池のまわりの木道。 これが○○というきのこ。忘れました・・

 妖精が遊ぶ森?
 美しの森駐車場へ向かって20分ほど歩き、オオヤマツツジへ向かう分岐の標識に従って林道から山道へ入りました。
 このあたりは下が一面の笹原でシラカバ、コナラ、ズミ、カラマツなどの明るい森の中の径です。木々の間から幾筋もの日の光が差し込んで、光のシャワーを浴びているような気持ちになります。木陰から森の妖精が飛び出してきて、楽しげに遊んでいる光景が浮かんでくるような、歩いているだけでもとても気持ちがいい径でした。15分ほどで金網のフェンスに囲まれたオオヤマツツジの場所に着きました。
 残念ながらオオヤマツツジは何年か前に大きな株の半分がかれてしまい、今は半分だけがなんとか育っている状態です。それでもその周りにも大きな株のツツジがあって、5〜6月のツツジの花の季節がまた楽しみ、と思いました。この場所に立っている解説の掲示板などを見ながらしばらく休憩。

オオヤマツツジの標識。 木漏れ日の差す森の道。 フェンスに囲まれたオオヤマツツジ。
広大な裾野 
 美しの森への道標に従って山道を進みます。このあたりも明るい樹林の中の道です。しばらく行くとT字路になっていて右は清泉寮、左は美しの森への標識があり、私達は美しの森方向へ向かいました。このあたりは下草の笹が刈ってあって歩きやすい。しばらく登りの道を歩くと、さっきの林道に出ました。

 この林道の出口の向かいには美しの森・展望台へ登る整備された木道が出来ていて、10分ほど登ると展望台に到着。展望台の大きな岩に陣取ってお弁当を広げました。展望台にはレストハウスもあって簡単な食べ物や飲み物も販売しています。
 眼下に広がる八ヶ岳の広々とした裾野を眺めながら、お弁当を頬張りました。
 美しの森は清里の観光エリアの中にあって1年を通して多くの人で賑わいますが、ちょっと森の中へ入ってみると静かな別世界が広がっています。ズミやツツジが咲く初夏、カラマツやモミジが色づく秋などそれぞれの季節にそれぞれの表情を見せてくれます。
沢を渡って、 下草が刈ってある急坂を上ると 展望台へ登る木の階段。

 ところどころに色
づいた木がありま
す。
 
このためにガンバって
登ってきました!

美しの森ー羽衣池ーオオヤマツツジハイクMAP