風の通り路2001.3.15  21号

雪の棒道・スノーシューハイク
鹿の群れと出会う

2月4日 小淵沢ペンション振興会の山歩き、ウォーキング好き仲間が、それぞれのペンションのおなじみさんに声をかけて、冬の棒道ウォーキングを企画しました。今年は1月に雪が多く、棒道も雪に埋もれていましたが、この日の数日前に有志が、雪を踏み固める作業をしてくれて、棒道は一筋のトレースがついていて、歩きやすくなっています。
午前10時、棒道の少し南側にある地域センターに集合。雪の山野を歩くためのスノーシューを持っている人、長靴の人など、みんな思い思いの装備で集まりました。
 私と夫はクロスカントリーの道具を持って集合しましたが、雪が少し固くなっていたので、はつけずに先頭グループが踏み固めた跡を普段の登山靴で歩きました。ふみ跡をはずすと膝あたりまでズボッともぐってしまい、初めのうちは、なかなかうまく歩けなかったのですが、しばらくすると歩き方にもなれて、普段とはまったく違う棒道の風景に目が行くようになってきました。

始めは、進行方向右手に小淵沢カントリークラブのフェンスが続きます。左手は八ヶ岳の県営牧場へ続くカラマツ林が広がっています。右手のフェンス沿いに植えられたカラマツ越しに南アルプスの峰々が雪をかぶって白く輝いています。


この足跡は?

歩き始めは夏草がきれいに刈られ、道も広く見晴らしもあって、みんな快適に歩いていきました。八ヶ岳から流れてくる沢にかかった新しい木製の橋を渡ると道が狭くなって、林の中の道になります。両側の木々が枝に積もった雪の重みで垂れ下がり、ちょうど雪のトンネルのようになっています。所々に、雪の中を歩いたウサギや鹿の足跡を見つけて、すぐに屋外研修会の開催です。
 ウサギの足跡は、前足を、後ろ足の間にはさむようにしてぴょんぴょんはねて歩くから、楕円の後ろ足の後ろに小さな前足の跡がつくのよ」と物知りの方の説明にうなずく参加者。 
 おおっ! ひとつ勉強になりました!

 このあたりに来ると、八ヶ岳側の林の中から棒道を横切ってゴルフ場のフェンスに向かって、いく筋もの足跡がついていました。
 「雪が多く積もると八ヶ岳には餌がなくなって、上から鹿が降りてくるんです」
 2m近い金網と20p位の幅で鉄条網が張ってあるフェンスを飛び越えてゴルフ場の中へ入り、ゴルフ場内の幼木の芽や皮を食べるようです。鉄条網には飛び越えたときに引っかかった鹿の毛がいっぱい残っていました。
 居ました! 少し見晴らしの良い左手の林の奥に五〜六頭の群れがじっとこちらを見ています。しばらくして、森の奥へ駆け去っていきました。   

このあたりの棒道は林の中の道で、木々の間を鳥たちもいっぱい飛び交っています。シジュウカラ、ヤマガラたちは一時もじっとしていません。木々の間をせわしなく飛び回っています。少し大きな鳥はカケス。ゆったりと飛ぶ姿は風切羽の紺色が目に染みるようでとても美しい。積もった雪で当たり一面真っ白な中に鮮やかな紺色がひときわ映えて素敵です。
 しばらく林の中を行くとゴルフ場のはずれに出ました。棒道はそのまままっすぐに続いていて、下から上がってくる小道との交差点・T字路になっているところで小休止。右手がゴルフ場・金網のフェンス、左手にはサントリーウイスキーを寝かせている大きな倉庫・エージングセラーの金網のフェンスで、その間を直線の道が続いています。 


スノーシューはすごい
 ここより少し前から私はスノーシューを借りて、試歩しました。皆が歩いたトレースはボコボコしていてとても歩きづらく、あっという間に最後尾、前の人との距離がどんどん離れてしまいました。
 ゴルフ場のフェンスが途切れるあたりで先に行った人たちが騒いでいます。「何だろう?」気持ちは焦りますが、スノーシューを履いた足が思うように進みません。
 トレースは踏み固められてボコボコで歩き辛いので、そこからはずれて新雪のところを歩いてみました。すると、どうでしょう! 新雪がちょうど雪のクッションのようにフカフカでスノーシューはわずかにもぐるだけでとても快適に歩くことができます。ザッザッと勢いよく皆と合流できました。

こんなに近くに!
 皆が騒いでいたのは、ゴルフ場の端に鹿の群れがいたからでした。私たちの一行が歩いてきたのでゴルフ場のフェンス沿いに逃げてきた鹿たちはちょうどフェンスの隅に追い込まれた状態になってしまっていたのです。大きな親鹿から小さな子鹿まで20頭くらいの群れだったでしょうか。一目散で私たちと反対側のゴルフ場の中へ走り去って行きました。
 最後尾を歩いていた私は鹿の姿は見ることができたのですが、デジカメを取り出すのにもたもたしていて、カメラに写っていたのはフェンスだけでした・・・

芯から温まる豚汁
 赤松の林を抜けるとペンション「わっ!」の脇に出ました。ここで今日のウォーキングは終了。雪の上に大きなビニールシートを敷いて楽しいランチタイムです。
 大きな寸胴にいっぱいに作った豚汁がふつふつと温まって皆を待っていました。摩り下ろしたショウガをたっぷり入れた豚汁が体の芯から暖めてくれました。
 たくさんの鹿や小鳥たちとの出会い。一面の銀世界。雪の信玄棒道は、普段の姿とはまったく違う面を見せてくれました。
これがスノーシューです。特に新雪の
ときには威力を発揮します。