風の通り路
2002.6.25 26号
明るい笹原、目にしみる新緑千 頭 星 山

 5月27日 レンゲツツジの群生で知られている甘利山とその奥に位置する千頭星山へ行ってきました。全山を覆い尽くして咲き乱れるレンゲツツジを観に行こうと甘利山ハイキングをペンションの仲間によびかけました。
 甘利山は現在では山頂直下まで林道が整備され、交通の便はよくなったのですが、その分駐車場から山頂まで30分足らずで行けてしまい、山歩きを目指してくる人にはちょっと物足りません。そこで、下見も兼ねて甘利山から千頭星山まで登ってみようと出かけたのでした。
 当日、まだ暗いころ、激しい雨音です。「これはむりかなぁ・・」と気をもみましたが、集合時間の午前8時頃には幸いひどい雨は弱まったので、とりあえず甘利山のツツジの群落の所までは行こう、ということで出発しました。


 小淵沢ICから中央高速自動車道に入り韮崎ICで降りて、韮崎市街を抜け、国道52号に出て富士川にかかる舟山橋を渡り、すぐに右の道へ入ります。甘利山方面の道標が出ていました。

 しばらく走ると林道に入りました。下のほうは木々が濃い緑に変わっていて、その木々に絡まるフジの花が鮮やかな紫に輝いていました。いくつものU字カーブを曲がってどんどん高度を上げていきます。上っていくにつれてカラマツやシラビソの木々が増え、ヤマツツジやミツバツツジの可憐な花がそこここに咲いていました。

 林道に入ってから30分ほどで駐車場に着きました。この日はまだそれほど人は出ていませんでしたが、それでも臨時のトイレが6箇所ほど設置されていました。

開花を待つツツジの蕾 

駐車場向かいから山道へ入ります。道の両側にはまだ蕾のレンゲツツジの木々がたくさん見えました。笹原の間にはヤマトリカブトやフウロ草などの夏を彩る花々が出番を待っていました。10分ほど丸太の階段を登ると左手に東屋があります。晴れていればこのあたりからの眺めも素晴らしい。開花の早いヤマツツジ、ミツバツツジはオレンジや紫の花をつけ、ズミも可憐な白い花を枝いっぱいにつけて渡る風に揺れています。

山頂へ向かう道の最初のピークを越えると甘利山山頂へ連なる木道です。木道の両側はレンゲツツジが斜面一面に群生していて、開花を待つばかりの蕾をいっぱい付けていました。満開の頃は、ここから遠く富士山がツツジの花の向こうに浮かんで見えるので、カメラを構える人々がたくさんやってきます。

レンゲツツジに囲まれた木道を横切ると広い甘利山の山頂にでました。山梨百名山の新しい標識と甘利山山頂の大きな看板が立っています。広い山頂一帯はレンゲツツジのほかにもマツムシ草やウスユキ草、ヤナギランなどが見られ、ツツジの季節以外でもランチタイムには絶好の場所です。

甘利山途中の三角点。 白い可憐なズミ。 木道の両脇はツツジの群落。

めざせ千頭星
 今日の私たちの目的は奥に控える千頭星山、山頂道標での記念撮影もそこそこに千頭星山への道標に沿って登山道を進みました。
 山頂から少し急な下りです。いつも登りの途中に下りがあるのは、(せっかく登ってきたのに、もったいない・・。)と思ってしまいます。山頂からの下りが終わる頃、草原の道も終わりになって、樹林の登りの道になりました。
 はじめのうちは明るい樹林の中の道で、ところどころにミツバツツジの大きな株が枝いっぱいに紫の花をつけています。花に出会うたびに記念撮影をしてしまう女性陣、ペースはさらにスローになって、「いつ雨になるかわからない。早く千頭星へ着こう」と急かされるはめに・・・。

きつい登り!
 しばらく登ってゆくと、明るい広葉樹林から少し暗いシラビソやコメツガの針葉樹林の林の道になっていきました。かなりきつい登りの道でしたが、木々の根本にはびっしりとマイズル草がはえていて、その小さな白い花に励まされるように、「頑張れ! 頑張れ!」と自分に言いきかせながら登っていきました。
着ると晴、ぬぐと雨
 途中何度か雨が強く振ってくる時があって、その度に急いでザックから雨具を取り出します。ところが雨具を着ると不思議なことに雨は小ぶりになり青空まで見えて、また雨具を脱ぐはめに・・・。最後にはもう暑くても我慢して雨具は着たまま行くことにしました・・・。
 甘利山山頂から1時間半、千頭星山への目安となる大西峰(おおにしうら)に着きました。右手の道は御所山・青木鉱泉、左手が鳳凰山、千頭星山の大きな道標が分岐点に立っていました。ここから千頭星山まではコースガイドマップでは30分となっていて、もう後わずかだ、と元気付けられました。
    
 バッチリ雨具を着たから、きっと雨は止むでしょう・・・

鼻歌の出る笹原、風にゆれるズミ
 大西峰から左手にコースをとってしばらく進むと樹林がとぎれ、目の前に気持ちのよい笹原が広がっていました。道は平坦で、行く先の正面に千頭星山が見えました。笹原の所々に優しい緑色の若芽のカラマツや、枝いっぱいに淡いピンクの小さな蕾をつけているズミの木々が渡ってくる風にそよいでいました。ここは私の最も得意とする道。自然と手を振って、鼻歌まじりで歩きます。
 さぁ!最後の登りです。登ること10数分、ついに山頂に着きました。「千頭星山 標高2139m」の大きな標識と山梨百名山の新しい標識が立っていました。山頂はそれほど広くなく、カラマツなどの樹林に囲まれていて展望はそれほど良くありません。私たちは雨の心配もあったので、急いでここでお弁当にしましたが、時間にゆとりがあれば、山頂直下の広い笹原でお昼にしたらいいと思いました。登る時は笹原の先は霧で曇って見えませんでしたが、下りる時には霧が晴れ、遠く富士川、韮崎の市街地が望めました。

 帰りはきた道を戻りました。お弁当を急いで食べたので、甘利山下の東屋でお茶にしました。展望を楽しんだり、少し色づいたツツジを撮影したり思い思いの時間を過ごしました。

 千頭星山は急な登りもありますが、広々とした笹原や、ズミやツツジ、カラマツの新緑など気持ちの良い道で、久しぶりに山登りをした!という満足感でいっぱいになりました! 
 「やったぞ!」
甘利山から
見る千頭星。
東屋でお茶にしま
しょう♪

次はツツジの花園甘利山です。