風の通り路
       2004.10.10 35号
真っ盛り水辺の紅葉白駒池至福のパノラマ高見石
コースタイム
風路9:30−駐車場10:45−歩き始め10:55−丸山山頂12:00−高見石小屋12:25(休憩15分)−
高見石12:50−高見石小屋1:10−白駒池1:55(休憩35分)−駐車場3:10
  歩行時間約3時間

 10月1日 
 「紅葉がかなり進んでいる」と聞いて、台風一過の秋晴れのこの日、家にじっとしていられずに車を走らせました。行く先は北八ヶ岳麦草峠、その先の白駒池です
 小淵沢から国道299号へ向かう田園の道は私達の大好きな道の一つです。特に茅野市に入った所は、右手に八ヶ岳が北から南まで一望でき、左手には南アルプス、正面には車山、霧ケ峰が横たわり、田の畦には今の季節、コスモスとススキが揺れて素晴らしい光景です。きょうは快晴で左手前方に北アルプスも望めました。
 国道に出てから麦草峠まで登って行くに従い、周りの風景が変わっていきます。はじめはまだ緑の残る雑木林がだんだんカラマツ林に変わり、木々に絡まるツタや山ブドウ、草むらに生えるハギなどの紅葉が鮮やかになっていきます。
 冬季ゲートのあるメルヘン広場あたりまで登ってくるとコメツガやシラビソの林になり、縞枯れ現象で知られる縞枯山(2402m)が姿を現します。隣は茶臼山(2383m)です。ほどなく、麦草ヒュッテ脇の駐車場に到着。天気が良いせいか、30台近くの車が停まっていて、これから歩き出そうとしているハイカー達もいました。ここには公衆トイレもあり、北八ヶ岳の登山、ハイキングのちょうど良い拠点となっています。風路からここまで1時間ちょっとでした。
 きょうの予定はここから麦草ヒュッテに出て、丸山(2329m)を経由、高見石、白駒池、麦草ヒュッテに戻ってくるコースです。

麦草ヒュッテです。 国道299号を隔てて縞枯山。

樹林の中を急登
 駐車場からシラビソの林を抜けるとすぐに麦草ヒュッテの前庭に出ました。ヒュッテ前の一帯は草原で、少し登ると丸山へ直登するコースと国道に並行して白駒池へ向かうコースの分岐があり、私達は丸山へ向かいます。ほどなくシラビソの樹林の中へ入ると足元にはびっしりと生えた苔、実生のナナカマドやダケカンバ、ツガ、シラビソなどの幼木や針葉樹林の下に育つゴゼンタチバナやセリバシオガマなどの草花が苔の間から顔をのぞかせています。木漏れ日がレースのカーテンのように光の帯となり、その光に当たった所だけが明るく光っています。薄暗い樹林の中で黄葉したダケカンバの黄色が日の光を浴びてひときわ鮮やかです。
 いったん登りつめた地点からまた下りに入ります。「あれッ、まだ山頂じゃないのか」せっかく登ってきたのに・・・登りの途中に下りが入るとちょっと損した感じ・・。
 今度こそ山頂への最後の急登です。ゴロゴロの岩の道を登っていくと丸山山頂の標識の立つ頂きに出ました。わずかに樹林の切れ間からの展望があって、鬱蒼としたシラビソやコメツガの樹林の海が広がっていました。

歩き始めてすぐの分岐。 倒木の下をくぐる。 木漏れ日の中。

登りきった所。山頂は左へ。 ここが丸山山頂です。

険しい岩場??高見石 
 山頂標識の脇から高見石方面へ向かう岩の重なり合った登山道を下っていきます。下りきったところで高見石小屋の裏手に出ました。小屋を回り込むと正面のテラスで数グループの登山者が休憩していました。
 テラスの椅子に座って、暖かいミルクとコケモモジュースを頼み、パンと梨で軽い休憩をとりました。お昼は以前食べて美味しかった白駒荘のきのこ汁に決めていたので、ここでは少しお腹に入れるだけにしました。
 休憩の後、小屋の脇から高見石に登りました。大きな岩が重なり合う高見石、岩に赤ペンキで○印が書いてあるところが登るコースです。「あれッ? こんなに険しかったっ?!」「ひぇーッ!」 相棒の腕にしがみつきながら何とか高見石の頂上に立ちました。

眼下に光る白駒池
 ちょうど眼下に白駒池が見え、池の周りのナナカマド、ドウダンツツジが鮮やかな赤色に染まっていて、青く静かな湖面と鮮やかなコントラストを見せています。
 白駒池を取り巻く果てしなく広がるシラビソの樹海の向うにはうっすらと噴煙を上げている浅間山。すぐ向かいの茶臼山、縞枯山、蓼科山。その遥かかなたには穂高、槍から遠く剣などの北アルプスの名峰。さらに目をめぐらすと乗鞍から中央アルプスの峰々。
 あーッ、やっぱりここまで登ってよかった! 下りるのも一苦労でしたが、360度のパノラマを堪能できた満足感で、さっきの弱音はどこへやら・・・?

 おーっ!!

浅間山、左端には北アルプスも。


 高見石を下りて、白駒池へ下る登山道へ入りました。しばらくは樹林の中の道で、岩と朽ちかけの丸太の木道が一昨日の雨に濡れて滑りやすい。30分ほど下ると道は少し平坦になり、板の足場を踏んでいくと、白駒荘のすぐ脇に出ました。池の周りには大勢のカメラマンが三脚を据えて、鮮やかな紅葉を写真に納めようとしていました。

木道を気をつけて渡り、 板の足場を行くと、

そこにはこのような光景が待っていたのでした!♪

今が盛り 鮮やかな紅葉
 白駒荘前のベンチに座って、さっそくきのこ汁と山菜天ぷらソバを頼みました。あたりで採れたきのことナスの味噌汁ですが、暖かい飲み物というだけで大ご馳走です。
 すぐ前には池に漕ぎ出すボートを係留する木の桟橋があって、その先端まで行って対岸の青苔荘方向を見ると水辺のナナカマドやドウダンツツジの紅葉が池に映えて鮮やかです。岸に近い水面にはヒツジグサが繁茂していて、花の咲く頃にまた来て見たいと思いました。
 ゆっくりとお昼を食べ、池の景色を堪能した後、帰路につきました。白駒池から国道299号へでる道は整備され、歩いて15分程なので、観光客も大勢やってきます。
 国道に出る手前で左に折れて、国道と並行している山道に入ります。すぐにシラビソなどの針葉樹林が途切れて、ハイマツやシャクナゲの低木の中に敷かれた木道に出ました。ここだけが見通しのきく庭園のような場所です。再び樹林帯に入り、そこを抜けると、歩き始めの麦草ヒュッテの三角屋根が小さく見えてきました。きょうのゴールは間近です。
 白駒池周辺のナナカマドやドウダンツツジなどの赤い紅葉は今が盛り! という感じでした。
白駒荘玄関。中で食事もできます。 山菜天ぷらそば1300円