八ヶ岳・小淵沢 ペンション風路の通信

風の通り路2008.3.20 49号


雪深い美濃戸スノーシュートレッキング 
大同心・小同心直下を行く

コースタイム
   スパティオ小淵沢駐車場7:30=美濃戸山荘駐車場9:00−北沢と南沢の分岐9:05−
   大同心が見える広場11:40(休憩20分)−行者小屋12:30(昼食休憩20分)−赤岳鉱泉13:25
   (休憩35分)−分岐15:40−駐車場15:50            
        歩行時間約5時間半

2月8日
 南八ヶ岳の主要山岳の登山のベースとして知られる行者小屋と赤岳鉱泉を巡るスノートレッキングの企画を「八ヶ岳歩こう会」が立ててくれました。
 スノーシューのコースとしては雪の状態にもよりますが、登りに3時間以上かかることもあるとのこと、「のんびり登山派」の私たちがついていけるかどうかちょっと心配でした。しかし担当者が下見に行った時の写真がホームページに載っていて、見ると雪を被った大同心・小同心が呼んでいるではないですか!
 
「これは行かなくては!」 

オフロード車で美濃戸山荘へ
 午前7時30分、スパティオ小淵沢に集合。3台の車に分乗して八ヶ岳公園道路(通称・鉢巻道路)を美濃戸へ向かいます。30分ほどで美濃戸口に到着。ここから先、林道の一番奥にある美濃戸山荘まではオフロード車の4輪駆動車でスタッドレスタイヤかチェーン装備車でないと入れません。林道に入ると、これまでの倍以上の積雪。トレースを外さないように進みます。
 30分ほど走ると林道の一番奥にある赤岳山荘が見えてきました。車を停め、駐車料金を払って全員スノーシューに履き替えます。 

赤岳山荘です スノーシューを履きました
 
オーッ!あれが大同心
 午前9時、スタートです。数分で美濃戸山荘。その先から林道を外れ、行者小屋へ向かう南沢の登山ルートに入りました。辺りは雪を被ったシラビソやコメツガの樹林帯、所々に葉を落としたカラマツの木があって、その辺りだけわずかに青い空がのぞいています。標高が1500〜2000mの山中でたっぷりの積雪の中を進みます。時々木々のまばらな所から驚くほど間近に阿弥陀岳が迫っています。登りが続くので何度か休憩を入れてもらったり、自主休憩と称して止まって息を整えたり・・・けっこうきつい。

 歩き始めてから2時間半をすぎた頃、樹林帯が途切れてすこし広い雪原に出ました。「お〜っ!」正面の樹林の上に白い八ヶ岳の岩稜、左側にひときわどっしりと聳えているのが「大同心」それに連なる「小同心」、その向こうに険しい岩稜を見せる横岳が望めました。この光景を見るためにがんばってきたのです! やったー! ここで何枚も記念写真を撮ったことは言うまでもありません!

みんなで記念撮影

お〜あれが大同心! 大同心と小同心 ちょっとポーズを決めて?

大ごちそう 温かいお茶、コーヒー
 
「あと少しで行者小屋、そこでお昼にしましょう」このことばを支えに、かなり疲れてきましたがなんとかがんばって歩きます。30分ほどで行者小屋の正面に出ました。行者小屋前では学生の山岳サークルがテントを張っていて、雪洞を作ったり、テントの設営や撤収などの雪上訓練を行っていました。
 ここでお昼です。さすがに寒い。指先がかじかんできます。ポットの温かいお茶が大ご馳走。パンやおにぎりをさっさと食べて、すぐに出発したい気持ちです。20分ほどで昼食を済ませ、出発。中山乗越までは緩い登り、そこからは快適な?下りです。途中長い滑り台ができていて、全員尻滑りを楽しみました。30分ほどで赤岳鉱泉の建物が雪と樹林の間から見えてきました。この小屋は通年営業で、冬季は小屋のすぐ上にある幾筋もの沢が凍って、アイスクライミングの練習場になっています。小屋の中に入ると大きな鍋に一杯のお湯が沸き、部屋の中央にはストーブが焚かれていました。冬の登山やスノーシューの際に温かいものが頂けるのは何よりのご馳走! 全員がホットミルクやコーヒーを注文して温まりました。中には体の中から温まろうとしている人も!? アズキ缶を持ってきたTさんが戸外の雪で氷アズキを作り人気を博していました。もちろんいただきました! おいしかったです。ごちそうさま!

行者小屋前 テント場 行者小屋の軒を借りてお昼
迫力の滑り台 赤岳鉱泉玄関です 氷(雪)あずき

青く光るアイスキャンデー
 
30
分ほど休憩して元気回復、さああとは下山です。小屋の裏側には人工的に作られたアイスキャンデーと呼ばれる氷の壁が出来ていました。これもアイスクライミングの練習をするところのようです。
 赤岳山荘からすぐに雪に覆われた樹林の中の道へ入ります。上りは南沢のコースを歩きましたが、下りは赤岳鉱泉から美濃戸山荘へ下る北沢コースです。北沢添いの登山道は幾つかの雪に埋もれた丸太橋を渡り返して下っていきます。少し広くなった道で振り返ると八ヶ岳の雪の峰々がまだ迫って見えます。なんだか名残惜しい。ついついシャッターを押してしまいます。いつもは下りが長く続くと膝が痛くなってしまうのですが、この日は雪のクッションのせいか大丈夫でした。

アイスキャンデー その横で記念撮影

ほほえむ阿弥陀岳
 
1時間ほど下っていくと橋を渡って少し広い所に出ました。山の中の登山道はここで終わりで、ここまでは美濃戸から林道が入っています。もうあとはこの林道を進めば午前中に車で入った美濃戸山荘の駐車場までわずかです。ゴール間近!の安心感からか、これまで雪の中を黙々と歩いていた一行も、とたんにおしゃべりが多くなるようです。途中で山小屋への資材運搬の雪上車とすれ違いました。幌の中には少しでも距離をかせごうというのか、人も乗っていたような・・・?  さらに30分ほど下ると午前中に登っていった南沢コースとの分岐に出ました。もう、直ぐ先が美濃戸山荘です。午後3時半すぎ、駐車場に着きました。
 やったぞー! 充実感に満たされて皆笑顔です。振り返ると雪を被って白く輝く阿弥陀岳が青い空をバックに微笑んでくれているようでした。山の頂上を踏まなくても、山岳展望を楽しみ、山小屋のコーヒーを楽しみ、冬山気分を味わえ・・・と楽しみの多いコースでした。風路から十分日帰り可能。お薦めです!
 

阿弥陀岳

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