八ヶ岳・小淵沢 ペンション風路の通信

風の通り路2008.10.10 51号


智恵子の空を見た 
リンドウ咲く尾根・安達太良山

コースタイム
   ゴンドラ山麓駅10:10=山頂駅出発10:30−仙女平分岐11:10−くろがね小屋からの分岐12:05
  −山頂12:20(昼食休憩20分)−薬師岳14:00−富士急ホテル16:10 
    歩行時間約5時間

9月6日
 ここ6〜7年夏の終わりに「従業員慰安旅行」と称して小旅行に行っています。数年前からこれに父方の従兄弟達が合流。「いとこ会旅行」となりました。
 今年は福島県の岳温泉が会場です。せっかく東北まで行くのだからその近くで比較的短時間で登れる山はないだろうかと探したところ、名峰・安達太良山がすぐ近く。スキー場のゴンドラリフトを使えば1時間半ほどで登れそうです!? 宿に1日早く入って、翌日安達太良山へ登る計画を立てました。「えッ! 安達太良山ってそんなに簡単な山じゃないよ。ずいぶん前だけど、くろがね小屋からのルートで計画したけど1泊小屋泊まりじゃないと厳しいと思って断念したことがあるよ」という相棒の言葉に少々不安を感じつつも、地図をコピーし、例によって「とりあえず行ける所まで行ってみよう」と出発しました。

ゴンドラは楽ちん 
 近くのコンビニでお弁当、飲み物、行動食を購入、温泉街の入り口にあるバスセンターから10時発のゴンドラ山麓駅へ向かうバスに乗り込みました。温泉街を抜けて少し色づき始めた森の中をどんどん上っていきます。10分程であだたら高原スキー場の広いゲレンデが見えてきました。スキー場の入り口にゴンドラリフト「あだたらエクスプレス」の乗場がありました。片道900円の乗車券を購入、一気に標高1350mの山頂駅へ。辺りはすっかり秋深しの雰囲気、リンドウやアキノキリンソウがたくさん咲いていました。
 
山頂駅からはとても立派な(立派すぎる!?)木道が続いています。整備され過ぎてちょっと登山道とは思えないくらい。道の両側にはノリウツギの花、花は終わっていますがシャクナゲ、ナナカマドが風に揺れていました。40分ほどで岳温泉の南にある県民の森からの登山道との合流点・仙女平の標識が立つ分岐にでました。途中から木道はジャリと敷石を敷いた登山道に変わっています。

ゴンドラ山麓駅 薬師岳への分岐 立派な木道
 
あれが安達太良山 
 この分岐から少し登っていくとシャクナゲやサラサドウダンなどそれほど高くない木々の樹林から草原の中の道になり、今まで登ってきた道や安達太良山山頂に至る尾根が見渡せるようになってきました。残念ながらこの日は曇り、ガスが立ちこめていてふもとから山頂までの眺望は臨めませんでした。でも行く手に安達太良山の頂が見えてきて勇気百倍! 登山道の両側にはリンドウが群生していて見事です。草原の中をしばらく登っていくとくろがね小屋を経由してくる登山道と合流、このあたりは砂地で、すでに大きな岩や石がゴロゴロした山頂の一角でした。

仙女平分岐 あれが安達太良山? くろがね小屋からの道

山頂に立つ
 この砂地の中央に「安達太良山頂」の標識が立っていて、その背後に安達太良山の特徴ある乳房の形の岩山がどっしりと座っています。一ヶ所だけクサリのある岩場がありましたが、なんとかクリア。岩山の上からは今登ってきた安達太良高原スキー場や山麓の深い緑の森が見渡せ、改めて東北の山と森の深さを実感させられました。その反面西側はほとんど植物が生えない荒涼とした斜面が広がっています。一九〇〇年に大噴火した沼の平の火口一帯で、今も火山性のガスが吹き出していて立ち入り禁止になっています。
 岩山の上には小さな祠と標識が立っていて、そこで記念撮影をした後山頂広場まで下り、お昼にしました。雨が降ってきたためそうそうに下山。登ってきた道をもどり、ゴンドラ山頂駅間近で「薬師岳方向」の標識に従って左手へ曲がると数分で薬師岳山頂の広場に出ました。
 
ここには「この上の空がほんとの空です」の標識がありました。残念ながら雨は止んだものの、くもり空。

安達太良山頂の標識 岩山の上で

薬師岳

遊歩道はどこ?
 薬師岳山頂から「あだたら渓谷自然遊歩道」の標識に誘われて、草と灌木の茂る下山道へ入っていきました。帰りのバスは午後4時半発1本だけ。ゴンドラを使わないで下りてもコースタイムでは1時間。今は2時。十分な時間があるはずでした・・・しかし この「遊歩道」! 多分今はゴンドラが出来たためほとんど使われていないと思われるかなり荒れた道でした。途中、道標が壊れていてどちらへ行ったらいいのか迷うような個所があったり、草が生い茂って道が途切れているように見える個所があったり、だんだん心配になってきました。時間も1時間はとっくに過ぎ・・・膝が、少し痛み出し・・・ やっと自然遊歩道の標識があったのはもうほとんど下りてきたところでした。遠くにバス停前のホテルの建物が見えてきたときには膝がカクカク。虫にさされて、目の上がかゆい。なんとかバスの時間に間に合って岳温泉のバスターミナルへ戻りました。

アやっと下りてきました。ヘロヘロ

東北の山と温泉はいいなぁ!!
 帰りの誤算?はあったものの東北の山の中ではスキー場のゴンドラが使えるので、比較的挑戦しやすい山、と思いました。花の時期はほぼ終わっていましたが、それでもリンドウがたくさん咲いていて、楽しめました。紅葉もすばらしいようなのでまたその頃に来てみたいです。
 安達太良山と岳温泉の良い湯に浸った2日間でした。

 追記・宿のカラオケルームで「智恵子抄」を歌ったことは言うまでもありません!

ノリウツギ アキノキリンソウ ヤマハハコ

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